加圧トレーニングの効果とは?指導歴10年のプロが教えるメリットとデメリット
加圧トレーニングは、腕・脚の付け根を専用のベルトで締めて加圧し、血流量を適切に制限して行う画期的なトレーニング方法です。加圧指導歴10年超えの筆者が加圧トレーニングの概要とメリット・デメリットについてお伝えします。
目次
加圧トレーニングとは!?
加圧トレーニングは、健康・美容・医療・スポーツ・リハビリなどの分野で成果を発揮している筋力アップトレーニングです。低負荷・短時間・短期間で効果が出るのが特徴です。
トレーニングの仕方によって、プロのアスリートから日常生活の中で健康増進を図りたい人、ダイエットしたい人、病気で寝たきりになっている人まで行うことができます。
筋力アップ効果の他、フィットネス効果・リハビリ効果などが科学的に検証され、様々な分野で注目を集めています。
加圧トレーニング誕生秘話
長期間、加圧トレーニングを受けている方でも「アメリカなど海外から入ってきたトレーニング」だと思っている方が多いのですが、加圧トレーニングは日本人の方が発明したトレーニングです。
発明者は1948年東京都生まれの佐藤義昭氏。
なんと、加圧トレーニングは佐藤氏が法事の席で長時間正座していた時の足のしびれから歴史が始まっていたそうです。
そのあたりのエピソードは加圧トレーニング本部のHPに掲載されています。
以下に一部抜粋して掲載させていただきます。
加圧トレーニングが誕生したエピソード
「加圧トレーニング」の発明者である佐藤義昭先生は、ボディビルにあこがれて中学生の頃からトレーニングを続けていました。
当時は専門のジムもなかったので方法は自己流。試行錯誤を繰り返す毎日でした。
ある法事の席でのことです。
お経を聞きながら長時間正座していたため、足がしびれてきました。
しびれを和らげる為にマッサージをしてみたところ、その時のふくらはぎの張り具合が、トレーニングを行って「追い込んだ」時に非常に似ていたのです。
佐藤先生は、その時の自分の足はどんな状態なのかを検証していきました。
「トレーニングをしている時も正座をしている時も、血行が悪くなっている。
ということは、血流を悪くすれば、人工的にハードなトレーニングをした状態を作り出せるのではないか」 このひらめきから、加圧トレーニングは誕生したのです。
その後は、いかにして血流を制限するか、どの程度の圧力を加えるべきなのかなど、何度もトライ&エラーを繰り返しました。
誰でも実践できるトレーニングにするには、方法を確立するのと同時に、安全性も確保しなくてはならなかったからです。
そうして、45年以上の歳月を費やした試行錯誤と研究の結果、現在の加圧トレーニングが生まれたのです。
また、より広範囲な分野に、加圧トレーニングが応用できる可能性も広がってきています。
自らの身体で実験を重ねながら現在の形に
加圧トレーニング学会などで直接お話を伺ったところによると、上記「何度もトライ&エラーを繰り返した」時期は血管を締め過ぎたりして「何度も病院に担ぎ込まれた」そうです。
加圧ベルトは当初柔道着の帯から始まり、ゴム製の試作品を試したりと本当に多くの試行錯誤を重ねられました。
後に東京大学大学院で「医学系研究科加圧トレーニング・虚血循環生理学講座」が発足されたり、アメリカのラトガー大学他4大学、有人宇宙開発における加圧トレーニングの研究などに発展しています。
加圧トレーニングのメカニズム
個人に合った適切な圧をかける
加圧トレーニングは、上記写真のように腕の付け根・脚の付け根に専用のベルトを巻き、各個人に合った適切な圧を掛けながら、目的に合ったメニューを行います。
加圧を掛ける前の血管内の血液の流れにくさ(=血流抹消抵抗値といいます)を1.0とすると、加圧トレーニングでは血流抹消抵抗値を1.7付近にすることを指標としています。
適切な圧の掛け具合は、使用する器具の数値・トレーナーの経験などによって決定されます。
適正に圧がかかると、腕もしくは脚に血液が多く溜まり、逃げ場を失った血液が普段使わない毛細血管の先の先まで流れていくようになります。この状態でトレーニングを行うと、通常では軽い重さの運動でも多くの筋肉が使われます。
軽い運動でもハードな運動と同等の効果が得られる
毛細血管の隅々までパンパンに血液が溜まった状態で身体を動かすと、血液中の酸素が不足状態となり、乳酸の濃度が急上昇します。
実際は軽い重さ、軽い運動をしているのですが、脳が「すごくハードなトレーニングをしている!」と勘違いするのです。
すると、ハードなトレーニングをしている時と同等の成長ホルモンの分泌が促進されます。
運動に自信のない方や中高年以降の方でも効果が出せる
体力の少ない女性や中高年以降の方でも、重たいダンベルやバーベルでカラダに負担を掛けず、安全に成長ホルモンを分泌させることが出来る、これが加圧トレーニングの”ミソ”です。
なぜなら、成長ホルモンは「体脂肪を燃焼させる効果」と「筋肉を増強させる効果」ダイエット・ボディメイクに欠かせない2つの機能を兼ね備えています。
さらに、免疫機能の強化・骨密度の上昇・痛みの回復・老化を遅らせたり皮膚の弾力を増加させたりする若返り効果も期待できます。
安全に成長ホルモンを分布させられる
ハリウッドでは、人工的に生成した成長ホルモンを充填する成長ホルモン充填療法を行う俳優や女優がたくさんいたといわれますが、外部から成長ホルモンを入れるその方法では、細胞をがん化させるリスクがあることがわかってきました。
成長ホルモンを低体力者でも自分自身の身体の内側から安全に、大量に分泌させ、恩恵を受けることが出来るのは加圧トレーニングの大きなメリットです。
加圧トレーニングの5大効果
加圧トレーニング本部は加圧トレーニングの効果に関して、5つの大きな効果=5大効果として発表しています。
加圧トレーニング5大効果
①ダイエット
加圧トレーニングを行うと増大する成長ホルモンによって、太りにくい体になります。
また、トレーニングによって筋肉が増えると、脂肪が燃焼しやすい体になります。
正しいダイエットに欠かせない筋肉増強と脂肪燃焼の2つが同時に出来るというのは大きなメリットです。
②若返り・美肌
加圧をすると通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌されたという研究結果が出ています。
成長ホルモンは、肌のハリやツヤを取り戻し、脂肪のつきにくい体にしてくれます。
人工的に生成した成長ホルモンを充填(じゅうてん)する方法よりも人体へのリスクが少ないというメリットもあります。
③血行促進
加圧と除圧を繰り返すことで、血管に弾力が甦ります。
血行が良くなり、血流量も多くなるので、新陳代謝が活発になります。冷え性や肩こりなどの不調を改善します。
加圧トレーニングを始めた後、毎年医療機関で測定している「血管年齢」が若くなった=血行促進により血管の弾力が増した、という例もお客様より複数報告を受けています。
④筋力アップ
軽い負荷で高い効果が得られるので、トレーニングを続けやすいのが特徴です。
さらにケガなどもしにくいので、老若男女だれでも実践できます。
血流を制限することによって、通常なかなか活動を始めない「速筋」が大きい負荷を受けたと錯覚してすぐに活動を始める、という点が加圧トレーニングにおける筋力アップのメリットの一つです。
⑤回復力アップ
加圧をすると骨折や肉離れ・捻挫などのケガの回復が早くなるという研究データがあります。
成長ホルモンによって、筋肉や人体の修復が早まると考えられています。
加圧トレーニングの効果の秘訣「低負荷」・「短時間」・「短期間」
加圧トレーニングのメリットとしては通常のトレーニングよりも「超低負荷」「短時間」「短期間」で効果が得られるという3つの要素があります。
➀「超低負荷でも効果が出る」
簡単に言うと、重たいダンベルやバーベルを使わなくても、筋肉が付くというメリットです。
血流制限の影響により、通常なかなか使われにくい繊維の太い筋肉=速筋が早期に使われることが起因していると考えられます。
女性や年配の方でも筋力アップが期待できることが大きな魅力になっています。
②「短時間で効果が出る」
週1回30分で全身のトレーニングができます。
通常体型を変える目的でトレーニングを行う場合、週2回~3回・1回あたり1時間~2時間はトレーニングする必要がある、というのが一般的なトレーニングの考え方です。
30分で上半身・下半身のトレーニングをしっかりできることに加え、劇的な血行促進・自律神経の安定などの効果によって、トレーニング後の達成感・満足感が高いと口を揃えて仰います。
③「短期間で効果が出る」
短期間に効果が出ることも特徴の一つです。
横浜の加圧トレーニング&パーソナルトレーニングの場合は、週1回の加圧トレーニングで「1か月目(1回~4回)でコリ・痛みなど不調の改善」「2か月目以降に明らかな体型の変化・数値的変化」が見込める可能性が高いというご案内をしています。
一般的にはトレーニングや食事法など新しい習慣を取り入れた時に明らかな効果・変化が見込めるのは細胞が入れ替わる期間の約3ヵ月後と言われています。
加圧トレーニングを受けていただいたお客様に特に喜んでいただけるのは、「肩こり・冷え性・生理痛・むくみ」など女性特有の悩みが人によっては1回目のトレーニングから改善できる部分です。
※効果には個人差があります
加圧トレーニングのデメリット
加圧トレーニングのデメリットとして、以下の4点を指摘する方が多いように思います。
➀トレーナーの指導力によって効果に差が出る
前述したとおり、血流を「適正に」「適度に」制限することが加圧トレーニングの効果を最大限引き出すことについて重要な点です。
横浜の加圧トレーニング&パーソナルトレーニングでは、圧を掛けた時の脈波が測定できるオシロスコープ内臓で加圧器具では最高水準の「加圧マスタープロ」を使用していますがそれでも数値だけでは判断しません。
お一人一人の体組成・体調・顔色・生理周期の時期などなど、多くの材料から圧力設定の判断をしています。
つまり、絶対的なマニュアルというものは存在しません。
ですから、トレーナーの指導力・経験によって効果に差が出てしまうことは現状としてあるのです。
※関連記事はこちら→加圧トレーニングで効果を出すための指導者選びのポイント
②血流を制限し乳酸が溜まりやすいためきつさを感じる
トレーニング中は血液が筋肉にパンパンにたまった状態。
血管が弱い方、筋肉量が少ない方はキツさを感じることが多いです。
ただし、低負荷でも「キツイ!」と脳を勘違いさせて成長ホルモンの分泌を促すという部分が加圧の”ミソ”ですから、「キツさ」を感じないと始まらない、というのが本当のところです。
また私(鈴木やつか)のお客様はよく加圧中のキツさはベルトを外した時の解放感・達成感・快感で全て解消される、と仰っています。
③一時的な虚血状態をつくりだすことによって活性酸素が発生する
虚血状態を人工的に作り出すことで、活性酸素が発生すると言われています。
私(鈴木やつか)の考えとしては、活性酸素を除去するための十分な栄養摂取ができていれば問題ないとお伝えしています。
④腕と脚以外にアプローチできない(と言われている)
加圧トレーニングが批判される内容で代表的なものが「ベルトを巻く腕と脚にしか効果がない」というものです。
これについても、腕・脚への加圧によって「腹筋・背筋の筋力アップに貢献した」という研究結果があり、私も10年以上の加圧指導歴においてお客様も、私自身も実感としても胸・背中・腹筋への加圧効果を実感しています。
※関連記事はこちら→加圧トレーニングは腹筋や背筋に効かない!?現役トレーナーの見解は・・
まとめ
加圧トレーニングは運動経験の少ない女性や低体力者でも「低負荷」・「短時間」・「短期間」で大きな効果を期待できるトレーニング方法です。
様々なメリットの他にデメリットもありますが、「適切な指導を受けられる環境選び」に十分気を付ければ、メリットの恩恵を受けられる割合のほうが圧倒的に大きいと考えられます。